お子さんのよくある皮膚症状
お子さんの肌は大人よりもデリケートで、刺激を受けやすいのが特徴です。そのため、乳児期から思春期まで、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすく、小児特有の疾患も多くみられます。
ご相談の多い皮膚トラブルは大きく以下の3つに分かれます。
- 湿疹・皮膚炎
- 皮膚の感染症
- 生まれつきの病変(あざ・ほくろ など)
お子さんは症状をうまく言葉にできず、気づいた時には悪化しているケースもあります。違和感を覚えた段階で早めに受診するのが安心です。
湿疹・皮膚炎|最も多い小児皮膚トラブル
アトピー性皮膚炎
皮膚の乾燥とバリア機能の弱さに、さまざまな刺激やアレルギー反応が加わることで、かゆみのある湿疹となります。慢性疾患なので、よくなったり悪くなったりを繰り返します。ご家族にアレルギー体質の方がおられる場合は、あかちゃんの頃から毎日保湿を続け、皮膚に症状が出てきたときに早めに治療を開始することが大切です。湿疹がある状態がつづくと、その後に食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などのアレルギー疾患になりやすくなるので(アレルギーマーチといいます)、早期からしっかりとした治療が必要です。
治療:ステロイドを中心とした塗り薬による治療をおこないます。よくなってきてもすぐに塗るのをやめずに、何日かおきにぬり続けて徐々に頻度を減らしていきます(プロアクティブ療法といいます)。一方で、乳幼児期では効果が出るのが大人よりも早いため、漫然と塗り続けないようにします。湿疹が残っているかどうか判断に困る場合があるため、定期的に通院し医師と相談しながら治療をすすめていくのが理想的です。 詳しくは以下のページをご覧ください。
乳児湿疹
生後数ヶ月の赤ちゃんに多く、顔・頭の赤みや黄色いかさぶたが特徴です。多くは自然に改善しますが、炎症が強い場合は治療が必要です。
あせも(汗疹)
汗が詰まって起きる細かいブツブツや水ぶくれ。夏場に多く、こまめなシャワーや衣服選びがポイントです。
おむつかぶれ
尿・便の刺激によって、おむつ部位に赤み・ただれが生じます。保湿・おむつ替えの頻度アップで改善しますが、悪化時は治療が必要。
じんましん
突然、皮膚が赤く盛り上がり強いかゆみが出ます。ふつう数時間で消えますが、つぎつぎに新しい皮疹が出没します。特定の原因がなく自発的に(なにもしなくても)出現するタイプがほとんどです。治療により1週間以内に消えることが多いですが、慢性化する場合は長期の治療が必要となります。お子さんの場合、食物アレルギーが関係することもありますので、ご心配な場合はご相談ください。
感染症|うつりやすい・広がりやすい皮膚の病気
とびひ(伝染性膿痂疹)
細菌感染により、水ぶくれ → ただれ → 広がるの順で進行する病気です。掻いたところから感染し、掻いているうちに広がってしまうため、虫刺されや湿疹があれば、しっかりと治療しておくことが大切です。保育園・幼稚園で蔓延しやすく、早期治療がカギとなります。
水いぼ(伝染性軟属腫)
ウイルス感染による光沢のある小さなイボ。放置で増えることがあり、治療方針は年齢や数により異なります。
ウイルス性イボ(尋常性疣贅)
手足によくできる硬いイボ。たこができたといって受診されるケースが多いです。一般的に液体窒素治療を行います。多くは複数回の通院が必要なため、わりと根気がいる疾患です。治りにくい場合はイボを柔らかくする塗り薬やテープをつかったり、漢方薬(ヨクイニン)を内服したり、複数の治療を組み合わせて根治を目指します。
白癬(水虫)・カンジダ症
真菌(カビ)による感染症で、赤み・かゆみ・皮むけなどが生じます。赤ちゃんから思春期まで幅広く見られます。
その他のご相談
あざ・ほくろ(先天性の皮膚病変)
生まれつきのあざや、成長とともに現れるほくろについての診断や経過観察を行っています。治療が必要と判断された場合は、レーザー治療が適応となることがあります。
現時点では当院にレーザー設備はございませんが、診断後、レーザー治療が必要な際には適切な専門医療機関をご紹介いたします。まずは気になる症状があればご相談ください。
にきび(思春期の皮膚トラブル)
中学生以降に増えるニキビ。ニキビは毛穴がつまり、毛穴の中で皮脂やアクネ菌が増えることによりできます。毛穴がつまると、目に見えない「マイクロコメド」から、「白ニキビ」、「黒ニキビ」となります。アクネ菌が増えて炎症が起こると「赤ニキビ」、膿をもつと「黄ニキビ」となります。治療を長くつづけるとニキビができにくい肌になっていきます。長く放っておいてしまうと、治療しても赤みや凹みが残り治りにくくなってしまいますので、早めの治療が大切です。
小児皮膚科を受診すべきタイミング
次のような場合は、早めの受診を推奨します。
- かゆみで眠れない、掻き壊してしまう
- 症状が広がっている
- 発熱・ぐったりしているなど全身症状を伴う
- 市販薬やスキンケアで改善しない
- あざ・ほくろの大きさや色が変わってきた
- 保育園・学校から受診をすすめられた
「少し変だな」と感じた段階が受診の目安です。
小児の皮膚は“予防ケア”が最も重要
皮膚のバリア機能は生まれた直後が最も弱く、乳児期のスキンケアが将来のアトピー発症リスクを左右するとも言われています。
特に大事なのが次の2つ。
- 毎日の保湿(ワセリンや保湿剤)
- 症状が出たときの早めの治療
荒れを放置するのがいちばん良くありません。「このくらい大丈夫かな?」と思うレベルでも、皮膚科で相談して問題ありません。
迷ったら小児皮膚科へ相談を
子どもの皮膚はデリケートでトラブルが発生しやすく、進行も早いことがあります。
- 湿疹・皮膚炎
- 感染症
- あざ・ほくろ
これらは小児皮膚科でよくみられる相談で、適切なケアと治療で改善が期待できます。
「病院に行くほどかな?」と迷う段階で受診したほうが、結果的に早く治ることがほとんどです。
小児皮膚科に関するよくあるご質問
生後間もない赤ちゃんにできた顔や頭の湿疹(乳児湿疹)は、どのようなケアが必要ですか?病院を受診する目安を教えてください。
乳児湿疹は多くの赤ちゃんに見られるもので、清潔と保湿が基本ケアです。顔や頭皮は泡で優しく洗い、こすらずにしっかり流します。乾燥が目立つ場合は保湿剤を1日2〜3回塗ると改善が早まります。
次のような場合は皮膚科を受診しましょう。
- 赤みが強い・ジュクジュクしてきた
- かさぶたが厚く広がる
- かゆみで機嫌が悪い
- 数日ケアしても良くならない
早めの治療で悪化・長期化を防げます
子どもが夜中にかゆがって眠れません。かきむしりによる悪化を防ぐために、家庭でできる対策はありますか?
まずは肌の乾燥を改善し、かゆみの“火種”をなくすことが大切です。
家庭でできる主な対策は以下です。
- 入浴後5分以内の保湿
- 爪を短くする
- 綿素材のパジャマや寝具にする
- 寝室を涼しく保つ(汗は強い刺激になる)
- ミトンや手袋を使って掻き壊しを防ぐ
夜間のかゆみは皮膚炎が悪化しているサインでもあります。続く場合は受診し、適切な外用薬でコントロールしましょう。
処方されたステロイド外用薬を使うことに抵抗があります。子どものアトピー性皮膚炎の治療において、ステロイドはどのように使うべきですか?
ステロイドは“炎症をしっかり抑えるための薬”であり、正しい使い方をすれば安全性は高いです。むしろ炎症を抑えきれないまま中途半端に塗り続けると、悪化を繰り返し、トラブルも起こしやすくなります。子どもでは、とびひや、ヘルペスなどの感染症が多いですが、湿疹が充分に抑えられていないときに起きやすいです。目元を掻きすぎるとまれに白内障などになることもあります。一方で、強すぎる薬を長期間使うと、皮膚がうすくなったり、皮膚線条(皮膚の縦割れ)が生じたりすることがあります。
ステロイドを使ううえで大切なポイントは以下の4つになります。
- 症状が強い時は短期間しっかり使う(寛解導入療法)
- 良くなってきても急にやめずに塗る頻度を減らしていく(プロアクティブ療法)
- 治って見える時も「保湿」は続ける
- 肌がすべすべもちもちになれば、ステロイドはほとんど要らない状態です
おすすめの保湿剤の選び方と、正しい塗布方法を教えてください。塗る回数やタイミングはいつがベストですか?
小児の保湿剤は「ワセリン系」「クリーム系」「ローション系」などがありますが、乾燥の強い冬や皮膚炎のある子にはワセリン・クリームタイプが向いています。
塗るタイミングは
- 入浴後5分以内(吸収が良く乾燥しにくい)
- 朝の着替え前
の1日2回が最も効果的です。
また、保湿剤はたっぷり塗るのがポイントです。皮膚がしっとり光る程度が目安で、軽くなでるように広げると刺激が少なく済みます。
おむつかぶれを予防するために、日頃から気をつけるべきポイントは何ですか?
おむつかぶれは“刺激・蒸れ・摩擦”の3つが原因です。予防のために以下を意識しましょう。
- こまめなおむつ交換(特にうんちの後はすぐ)
- お尻ふきはこすらず、ぬるま湯で洗うのが理想
- しっかり乾かしてからおむつをつける
- ワセリンや亜鉛華軟膏でバリアを作る
赤みが強い、プツプツが増える、治らない場合はカンジダ症の可能性があるため受診をおすすめします。
子どもに水いぼがたくさんできてしまいました。治療は痛いと聞きますが、必ず取らなければいけませんか?自宅でできる感染拡大を防ぐ方法はありますか?
水いぼは自然に治ることも多く、必ず取る必要はありません。ただし、なかなか治らない・数が増える・かゆくて掻き壊す・保育園やプールで指摘される場合は治療を検討します。取る治療は痛みを伴うため、通常は麻酔テープを事前に貼って痛みを軽減します。取る以外の治療もありますのでご相談ください。
家庭でできる拡大予防は以下です。
- 掻きむしらないように保湿をしっかりする
- タオルや衣類を共有しない
- 入浴は問題ないが、こすらない
- 乾燥肌を治して“移りやすい土台”をなくす
虫刺されをかき壊して「とびひ」になってしまいました。幼稚園や学校は休ませるべきですか?
とびひは触れるとすぐ広がる感染症のため、症状が広がっている間は登園・登校を控えるのが一般的です。治療を開始し、患部をガーゼで覆って感染の心配がなくなれば再開できます。
目安としては、
- 新しい発疹が出なくなる
- ジュクジュクが治まる
- 医師から「登園OK」と指示が出るこの3つが揃った頃に戻ることが多いです。
子どもの皮膚トラブルは、皮膚科と小児科のどちらを受診すればよいですか?
“皮膚症状”でお困りでしたらまずは皮膚科への受診をご検討ください。皮膚の病気は見た目が似ていても原因が違うことが多く、専門医が診る方が正確な診断と治療ができます。
ただし、
- 元気がない
- 高熱がある
といった場合は、まずは小児科を受診したほうがよいでしょう。その後、診断がはっきりしないなど必要に応じて皮膚科に相談されることがあります。
また、皮膚科、小児科いずれでもみられる疾患の代表に、“アトピー性皮膚炎”があります。
“皮膚症状”が治らない場合は皮膚科へ、合併している“食物アレルギー”や“喘息”の治療は小児科へ、といったようにお互い相談し合うこともありますので、お子さんの症状に応じて科を選択されるとよいかもしれません。
生まれたときからある「あざ」や「ほくろ」は、いつ頃、どのような治療が必要になるか教えてください。
あざには種類があり、治療が必要かどうかはタイプによって異なります。
一般的には、
- 赤あざ(いちご状血管腫):乳児期に早期治療で効果が高い
- 青あざ(蒙古斑以外):一部はレーザーが有効
- 茶色いあざ:大きさや濃さ次第で治療を検討
- ほくろ:形・色・大きさの変化があれば受診
当院では、生まれつきのあざや、成長とともに現れるほくろについての診断や経過観察を行っています。治療が必要と判断された場合は、レーザー治療が適応となることがあります。
現時点では当院にレーザー設備はございませんが、診断後、レーザー治療が必要な際には適切な専門医療機関をご紹介いたします。まずは気になる症状があればご相談ください。
日焼け止めは、何歳から、どのような種類(成分)のものを使えば安全ですか?
日焼け止めは生後6ヶ月頃から使用可能とされています。肌が敏感な赤ちゃんには、以下のタイプがおすすめです。
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)
- SPF20〜30程度で十分
- 低刺激・無香料のベビー用日焼け止め
また、日焼け止めだけでなく
- 帽子
- 日陰の活用
- ラッシュガードといった“物理的な紫外線対策”も併用するとより安全です。
日常のケアで気をつけることはありますか?
肌を刺激しないことが一番大切です。体を洗うときは、ごしごしこすらず、しっかり泡立てた泡でやさしく洗いましょう。石けんが肌に残るとかゆみや刺激の原因になるため、すすぎは充分におこなってください。赤ちゃんの場合は、顔や頭は最後にまとめて流すと負担が少なくおすすめです。
また、衣類が刺激になってかゆみを感じることがあります。綿素材の肌着を選ぶ、ちくちくする服を避けるなどの工夫が役立ちます。
さらに、ほこり・ダニ・カビは悪化の原因となるため、室内の掃除はこまめに行うようにしましょう。
かゆみのせいで、学業や日常生活に影響を受けています。
かゆみが続くと、授業に集中しにくくなったり、夜に十分な睡眠がとれなかったりと、学業や日常生活に支障が出ることがあります。同じような悩みを抱える方は多く、決して珍しいことではありません。
湿疹が見た目には軽く見えても、本人は強いかゆみを感じているケースも少なくありません。 そのため、かゆみを抑えるには、湿疹そのものをしっかり治療することが大切です。
通常は塗り薬で改善しますが、塗り薬だけで強いかゆみが続く場合は、飲み薬や注射薬を併用した治療が必要になることもあります。
つらい状態を我慢する必要はありませんので、どうぞ早めにご相談ください。
ニキビのため洗顔をしていますが、カサつきが気になります。スキンケアはどうすればよいですか?
ニキビは毛穴のつまりと皮脂の増加が原因のため、毎日の洗顔で余分な皮脂を落とすことは大切です。ただし、洗いすぎると乾燥して悪化の原因にもなるため、以下のポイントを意識してください。
● 洗顔
- 1日2回、泡立てた石けんでやさしく洗う
- ぬるま湯で流し、すすぎ残しに注意
- タオルでこすらず、軽く押さえて水分を取る
● 保湿
治療や洗顔で皮脂が落ちすぎると乾燥しやすくなります。ローションだけで乾く場合は、乳液やクリームも併用しましょう。
● 日やけ止め
日やけはニキビを悪化させるので、治療中は特に注意が必要です。低刺激・ノンコメドジェニックの日やけ止めを選びましょう。
乾燥とニキビは同時に起こりやすいため、「落とすケア」と「守るケア(保湿)」の両立が大切です。